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【入門】メトロミラーとグローバルミラーの違い

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はじめに

IBMのストレージ製品において使われる二つの用語の違いについて簡単に記載しました。
できるだけ平易な言葉で記載しましたので、入門記事として活用ください。

Metro Mirror と Global Mirror

まず、これらの技術は災害対策で用いられます。
つまり、どちらもローカル環境のデータを万が一のためにリモート環境に転送する仕組みです。

ちなみにミラーとはミラーリングの略です。


さて、二つの用語の違いを一言で言えば、
同期コピーがMetro Mirror非同期コピーがGlobal Mirror です。


これらのメリットデメリットは以下の画像が参考になります。


f:id:mtiit:20181118003948j:plain
https://japan.emc.com/microsites/japan/techcommunity/learn/foundation/ascii-storage-10.htm より画像を抜粋

ディスクへのI/Oパフォーマンス 被災時データ
Metro Mirror 伝送遅延の影響あり 災害発生時点
Global Mirror 伝送遅延の影響なし 災害発生時点から少し前  


補足ですが、メトロミラーもグローバルミラーもストレージの機能を用いたバックアップです。
それとは別に、例えばデータベースシステムにはレプリケーションといった技術がありストレージの機能を使わずともバックアップを作成することができます。

ただし、サーバのリソースを消費しない複数のミドルウェア・アプリを統合してバックアップできるといった点がストレージでのバックアップの優位点です。

Metro Mirror の特徴

Metro Mirror の特徴は、災害発生時にローカルのストレージが全損した場合でもリモート側ではデータ損失が起こらない点です。
「障害が発生した地点からどれくらい前までに戻せるのか」という指標であるRPO*1の観点で言えば最も優れたバックアップ方式です。

ただし、拠点間の距離は300km程度が限度のようで、
この距離の制約は、アプリケーションの応答速度低下が懸念されるからです。

リモートのストレージへの反映完了を持ってサーバ側へ完了となるフローは、サーバーから見れば書き込み速度が遅いディスクを扱っているのと同じだからです。
よって、拠点間を結ぶ回線は高速回線が想定されます。

Global Mirror の特徴

Global Mirror の特徴は、災害発生時にデータ損失は最小限にしながらアプリケーションへの影響も抑える点です。*2

時間間隔を設定してデータを転送するイメージです。こちらは特に距離の制約はありません。

距離の制約がないことと、サーバ側はリモート側への反映を待つことなく後続処理に進めるのがポイントです。

ちなみに、Global Mirrorではスナップショットデータの伝送という仕組みで整合性をとっています。

スナップショットとして静止点を作成し、それを伝送している間の変化はCR*3ビットマップという領域で別途管理しておくという流れです。

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DS8000 Global Mirror Best Practices Redbookより図を抜粋

補足 グローバルコピー/ミラーにフラッシュコピーが必要な理由

まとめ

メトロミラーグローバルミラー、聞きなれない用語でしたが
同期コピーがMetro Mirror非同期コピーがGlobal Mirror という点だけでも覚えておくとよいと思います。

以上です。

*1:Recovery Point Objective

*2:Global Mirrorにおいても回線帯域を上回る書き込みがあればアプリケーションへの影響あり

*3:Change Recordingの略